SAGA EKIMAE
ORTHODONTICS
佐賀駅前矯正歯科
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口ゴボ(上下顎前突)の矯正治療について

2026.10.12

口ゴボとは?

「口ゴボ」という言葉を最近よく耳にするようになりました。

口ゴボとは、口元が前方に突出している状態を表すインターネット上の俗称であり、矯正歯科で使用される正式な専門用語ではありません。

口元の突出度を評価する指標の一つに、**E-Line(エステティックライン)**があります。

E-Lineとは、鼻の先端とオトガイ(顎の先端)を結んだ直線のことで、このラインに対して上下の唇がどの程度前方に位置しているかを確認することで、口元の突出度を評価します。

ただし、E-Lineは鼻やオトガイの形態によっても変化するため、E-Lineだけで口元の突出を判断するわけではありません。

口ゴボの原因

口ゴボの原因として多くみられるのが、上下の前歯が前方に突出している状態です。

このような状態は、矯正歯科では「上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)」と呼ばれます。

上下顎前突では、上下の前歯が前方に傾斜したり、前方に位置したりすることで、唇が押し出され、口元が突出して見えることがあります。

一方で、前歯の位置だけでなく、上下顎骨の位置や大きさ、鼻やオトガイの形態などが口元の突出感に影響している場合もあります。

そのため、口ゴボの改善を目的とした矯正治療では、まずその原因を正確に診断することが重要です。

矯正治療の目標はどのように決める?

上下顎前突の矯正治療では、一般的に上下の前歯を後方へ移動させることで、口元の突出感の改善を目指します。

しかし、前歯をどの程度後方へ移動させればよいのでしょうか。

当院では、**セファロ分析(頭部X線規格写真分析)**を用いて、上下の前歯の位置や傾斜、上下顎骨の位置関係などを評価し、治療目標を設定しています。

セファロ分析にはさまざまな方法がありますが、日本矯正歯科学会の症例報告などで用いられる指標の一つに、A-Pog平面を基準とした前歯の位置の評価があります。

A-Pog平面とは?

上顎骨のA点と下顎のオトガイ部にあるPogonion(Pog点)を結んだ基準線です。

この基準線に対して、上下の前歯がどの程度前方に位置しているかを評価します。

一つの目安となる値は、以下のとおりです。

  • 上顎前歯(U1 to A-Pog):6.0 mm
  • 下顎前歯(L1 to A-Pog):3.0 mm

また、前歯の傾斜を評価するために、上顎前歯ではU1 to SN、下顎前歯ではL1 to MPなどの角度を参考にします。

例えば、上顎前歯のU1 to A-Pogが12.0 mm、下顎前歯のL1 to A-Pogが9.0 mmであった場合、それぞれの基準値との差は6.0 mmとなります。

このような症例では、上下の前歯を大きく後方へ移動させる必要があると考えられ、上下顎の小臼歯を抜歯して、前歯を後方移動させる治療が選択肢となることが多くあります。

ただし、これらの数値はあくまでも目安です。実際の前歯の移動量は、骨格の状態、前歯の傾斜、歯槽骨の厚み、口元のバランスなどを総合的に評価して決定します。

矯正治療で口元はどのくらい変化する?

口ゴボの改善を希望される患者様にとって、特に気になるのが「矯正治療によって、実際に横顔がどのくらい変化するのか」という点だと思います。

前歯を後方へ移動させることで、唇も後方へ移動し、口元の突出感が改善することが期待できます。

しかし、前歯の移動量と唇の移動量は必ずしも一致するわけではありません。文献的には、前歯の移動量の3分の2程度等報告もありますが、唇の厚みや軟組織の性質などによっても、治療後の変化には個人差があります。

そこで当院では、セファロ分析によって前歯の移動量を検討した後、フェイシャルスキャナーを使用して、治療後の横顔の変化を3D画像でシミュレーションしています。

当院で使用しているのは、「Morpheus(モルフェイス)」というフェイシャルスキャナーです。

顔貌を3D画像として記録し、前歯の後方移動に伴って口元がどのように変化するかをシミュレーションすることで、患者様に治療後のイメージをより具体的にお伝えしています。

もちろん、シミュレーションはあくまでも予測であり、実際の治療結果を保証するものではありません。

それでも、治療前に口元の変化を視覚的に確認できることは、患者様が治療方針を理解し、抜歯・非抜歯などの治療方法を検討するうえで、非常に有用だと考えています。

実際の症例

ここからは、当院で上下顎前突に対する矯正治療を行い、口元の突出感の改善を図った症例をご紹介します。

CASE :上下顎前突と前歯部開咬を伴う症例(20代女性)

【治療前の状態】

20代の女性で、「前歯が噛み合っていないこと」と「口が閉じにくいこと」を主訴に当院を受診されました。

初診時には、上下の前歯が著しく前方に突出しており、上下の前歯が噛み合わない「前歯部開咬(かいこう)」を認めました。

セファロ分析による上下前歯の前後的位置は、上顎前歯(U1 to A-Pog)が13.5 mm、下顎前歯(L1 to A-Pog)が7.5 mmであり、いずれも基準値より前方に位置していました。

また、口唇を閉じる際にはオトガイ部(顎の先端)に筋肉の緊張が認められ、自然な状態では上顎前歯が露出しており、口唇を閉じにくい状態でした。

【治療方針】

上下の前歯を後方へ移動させ、前歯の噛み合わせと口元の突出感を改善することを治療目標としました。

そのため、上顎両側第一小臼歯および下顎両側第二小臼歯を抜歯し、抜歯によって得られたスペースを利用して上下の前歯を後方へ移動させる治療計画としました。

セファロ分析から、上顎前歯は7.5 mm、下顎前歯は4.5 mmの後方移動を計画し、上下前歯を適切な位置に排列することを目指しました。

特に、上顎前歯は7.5 mmと大きな後方移動が必要であったため、矯正用アンカースクリューを固定源として使用し、臼歯の前方移動を抑えながら上顎前歯の後方移動を行いました。

【治療後の状態】

治療後の口腔内写真からは、上下の前歯が後方へ移動したことで、前歯部の開咬が改善し、適切な前歯の噛み合わせが獲得されていることが確認できます。

【セファロ分析による治療前後の比較】

治療前後のセファロ分析では、上下前歯の前後的位置に以下の変化が認められました。

分析項目治療前治療後
上顎前歯(U1 to A-Pog)13.5 mm6.0 mm
下顎前歯(L1 to A-Pog)7.5 mm3.0 mm

上顎前歯は7.5 mm、下顎前歯は4.5 mmの後方移動が達成され、いずれも治療前に設定した目標値に到達しました。

その結果、口元の突出感も大きく改善し、良好な側貌(横顔)が得られました。

治療前には口元が前方に突出し、口唇を閉じる際にオトガイ部の筋肉に緊張が認められましたが、治療後には上下の口唇がE-Lineよりも後方に位置するようになり、バランスの取れた自然な口元となりました。

このように、上下顎前突の矯正治療では、セファロ分析に基づいて前歯の移動量を適切に設定し、計画的に後方移動させることで、噛み合わせだけでなく、口元の突出感や横顔の改善も期待できます。

まとめ

口ゴボと呼ばれる口元の突出感は、上下の前歯が前方に位置している「上下顎前突」が原因となっていることが多く、矯正治療によって改善できる場合があります。

口元の突出感を改善するためには、単に前歯を後方へ移動させるだけでなく、セファロ分析を用いて上下の前歯の適切な位置を診断し、必要な移動量を正確に計画することが重要です。

また、前歯を大きく後方へ移動させる必要がある場合には、小臼歯の抜歯や矯正用アンカースクリューの使用が有効な選択肢となります。

当院では、セファロ分析による治療計画に加え、フェイシャルスキャナーを用いた3Dシミュレーションを行い、治療後の口元の変化を患者様にわかりやすく説明するようにしています。

矯正治療の目標は、歯並びや噛み合わせを整えるだけでなく、口元や横顔との調和を図ることにもあります。

口元の突出感や口の閉じにくさが気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。

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