矯正治療について

矯正歯科

矯正歯科

2018.07.27

成人矯正治療で注意すべきこと


通常、矯正歯科は、歯並びの改善のみを行います。

しかしながら、成人矯正治療において、虫歯や歯周病、歯の欠損、合ってない被せ物や詰め物などがなく、すべて健全な天然歯であるケースは多くはありません。

それらの様々な歯科的問題を抱えた成人の矯正治療希望の方に対して、歯並びの治療計画だけで治療を進めていってしまっては、逆に噛み合わせが崩れたり、治療期間が延長したりして、歯の寿命を縮めてしまうこととなることもあります。また、歯並びはきれいになっても前歯の形や色に問題がある場合は、スマイル時の審美性を阻害する要因となってしまいます。

つまり、成人矯正治療に関しては、歯並びだけでなく一般歯科治療も含めた治療計画を立案し、治療を進めていく必要があるということです。

今回は、歯並びだけでなく、前歯に虫歯があり、根っこの病気や色に問題があった症例を紹介したいと思います。

患者さんは、25歳女性で、「前歯が前に出ている」を主訴で当院に来院されました。上下の隙間が空いていて前歯は噛み合っておらず、前方に傾斜した状態でした。

また、左上の側切歯(前から2番目の歯)は、黒く変色した状態で、レントゲンを撮影すると根の先に黒い透過像を認めました。これは、以前治療した虫歯が大きかったために、そこからの細菌感染が起こり、神経が失活し、根っこの先まで炎症が波及した状態です。この状態で歯を動かすことは極めて危険で、まず、根の治療(根管治療)をしてから、病変部の炎症がおさまり、治癒機転にはいってから矯正治療を行わなければなりません。

根管治療を終了してから15日後には炎症反応がおさまり、組織修復が起こる治癒機転に入るとことが報告されており、少なくとも術後15日以上空ければ、矯正治療をスタートすることができます。

神経が失活した歯がなぜ変色し黒くなっていくかというと、血液中の鉄分が象牙細管(歯の象牙質という組織にある細い管)に入り込むためです。神経の治療をしたときも同じように血液の成分などが細管内に入り込むことで変色していきます。

根管治療と矯正治療終了時の写真です。歯並びとか見合わせを大きく改善しました。しかし左上の側切歯は変色が著しく、大きな詰め物もあり、審美的でありません。よって、セラミックによる修復をおこなっていきました。もちろん治療前にここまで計画を立てて、説明をおこなっています。

セラミック修復後の写真です。患者さんの希望から前歯だけでなく、左下の金属もセラミック修復を行いました。

このように、当院では矯正治療だけでなく、一般歯科治療も行いますので、歯並び以外の歯科的問題を考慮しながら矯正治療を行っております。