前回は、子供の矯正治療で、どのような場合に治療が必要になるかを生え変わりの順に解説していきました。
今回は、それぞれのステージにおける治療方法について解説します。
① 第一大臼歯が生える時(6歳から7歳)
・上の第一大臼歯が前の乳歯に食い込んでしまう場合
このようなケースは、手前の乳歯が通常より早い時期に抜けてしまいます。それにより上の第一大臼歯が前方にずれて生えて来るため、永久歯が生えてくるスペースがなくなってしまいます。患者さんは7歳の男の子で、ブラケットとスプリングを使用して、第一第臼歯を本来の位置に戻して、永久歯が生えるスペースの確保を行いました。治療期間期間は、6ヶ月でした。
・上の第一大臼歯が外側を向いて生えてきて、下の歯とすれ違ってしまう場合
患者さんは7歳の女の子で、リンガルアーチという装置からワイヤーを伸ばして、ゴムで第一大臼歯を内側に引っ張って、正しい位置に戻しました。上下の歯が正常に噛み合うまで、4ヶ月の期間を要しました。
・上の第一大臼歯の萌出が遅れている場合
患者さんは8歳の女の子で、左側の第一第臼歯は萌出後1年以上も右側の第一大臼歯は生えてきませんでした。レーザーで歯茎に小さな穴を開けて、歯が見える状態にしてから、弾性があるワイヤーを装着し、牽引を行いました。治療期間は6ヶ月です。
② 上下の前歯(中切歯、側切歯)が生える時(7歳から8歳)
・前歯が反対咬合(逆の噛み合わせ)となった場合
患者さんは、8歳の女の子で、右の前歯が逆の噛み合わせになっていました。リンガルアーチという装置にバネをつけて、右の前歯を前方に移動させて、逆の噛み合わせを改善させました。治療期間は、4ヶ月です。
・前歯がガタガタになった場合
患者さんは8歳の女の子で、歯列の幅が狭いために、クワドヘリックスという装置で上顎の幅を広げたのちに、マルチブラケット装置でガタガタを並べていきました。治療期間は8ヶ月です。
③ 側方歯(犬歯、小臼歯)が生える時(8歳から11歳)
・犬歯が生えて来ない場合
患者さんは10歳の女の子で、左上の糸切り歯が歯茎に埋まった状態になっていました。
少し歯茎を切開して、糸切り歯を見える状態にして、牽引を行いました。糸切り歯のスペースをつくる治療も行いましので、治療期間は16ヶ月かかりました。
・小臼歯の萌出スペースがない場合
12歳の女の子で第一小臼歯と第一大臼歯が寄ってしまい、第二小臼歯が生えるスペースがなくなっていました。マルチブラケット装置を使用してスペースをつくりました。他の部分の噛み合わせにも問題があったため、全体的な矯正治療を行い、期間は1年半でした。
以上が子供変え代わりで問題が起こったときの実際の治療例です。
当院の子供の矯正治療費は基本料金が27万円(税込)で、月に3,240円の調整料がかかります。生え変わりまで、管理させていただくための装置のつくりかえや、検査(模型、レントゲン)の料金も含まれています。