部分矯正治療は、その適応症例となる方にとっては、非常にメリットがある治療です。
まず、装置をつける部分が少ないため、全体の矯正治療と比較して費用が押さえられます。
また、歯を動かす量が少なく、動かす部分も限られるため、比較的短い治療期間(6ヶ月程度)で治療を終えることができます。
この2つのメリットは、矯正治療を希望する誰もが望むことです。
しかしながら、すべての歯並びで部分矯正治療が可能というわけではなく、実際には非常に限られた歯並びです。
適応となれば非常に幸運です。
前歯の部分矯正治療が適応となる3つの条件
皆さんの希望が最も多い前歯の部分矯正の適応となる歯並びの条件について解説していきます。
① 奥歯の噛み合わせが正常であること
上下の奥歯の前後的な関係が良好であること、つまり専門的にはAngle Class Ⅰの噛み合わせであることです。奥歯の噛み合わせに前後的なズレがある場合は、前歯にもズレが生じるために、奥歯の位置を補正する治療の必要性があり、全体矯正治療の適応となります。
② 前歯の噛み合わせの垂直的関係(被さり具合)が正常であること
開咬(上下の前歯の間に隙間がある噛み合わせ)や過蓋咬合(下の前歯が上の前歯の根元に噛み込んできる噛み合わせ)などの噛み合わせは、やはり全体矯正治療の適応で、部分矯正治療での治療は困難です。
③ ガタガタがシビアでなく軽度であること
小臼歯抜歯が適応されるようなシビアなガタガタがある場合は、部分矯正治療の適応ではありません。
これらの条件を満たす場合は、前歯の部分矯正治療の適応となります。
部分矯正治療の装置について
すべての方が適応となるわけではありませんが、従来の表側の装置から見えない装置(裏側の矯正装置やマウスピース)まで治療方法を選択することができます。
表側からの矯正装置
裏側の矯正装置
マウスピースの矯正装置
ストリッピングでスペースをつくり上下のマウスピースで前歯の配列を行いました。
治療期間は7ヶ月です。
ストリッピングについて
部分矯正治療では、ガタガタを治すためのスペースを獲得するためにストリッピングを行うことがよくあります。
ストリッピングとは、ストリッピング用のヤスリを使って歯を0.2〜0.5mm程度削り、ガタガタを改善させるためのスペースをつくる方法です。ストリッピングは、エナメル質と呼ばれる歯の硬い表層の部分内に止めるので、それが原因で虫歯になったり、歯にダメージを与えたりしない安全な方法です。前歯の5箇所にストリッピングを行うことで最大3.0mmまでスペースを獲得することができます。部分矯正治療では非常に有効な処置になります。
部分矯正治療を希望される方は一度相談にお越しください。